テレビでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、
3月23日は防大の卒業式。

私が卒業したのが1997年ですから、
あれから約20年経つんだなあと感慨深くなりました。

私もテレビでその様子を見て、
ふと自分の卒業式のことを思い出しました。

学生隊学生長の号令で帽子を投げて式が終るわけですが、
帽子を投げる前に感じたのは
「これでやっと開放される」という開放感よりも
「ああ、これを投げてしまったらすべて終ってしまうなあ。」
という寂しさでした。

2012年6月から約2年間、
ブログを書くことで当時の学生生活を振り返り、
改めて防大で多くのことを学ぶことが出来たと感じています。

・規則正しい生活を送ること

・約束の時間を守ること

・先輩や後輩を大事にすること

・リーダーシップやフォロワーシップ

など沢山ありますが、
中でも私が防大生活で得たことの中で
特に大きかったと思うのは以下3つです。

 

①自己完結 
防大は軍人を育てる学校ですから、他人に頼ることを前提とした人間育成を行いません。

他人に頼ることを前提とした教育をしてしまうと、
いざ戦闘になった場合その人間だけではなく
他人も巻き込まれて死んでしまうからです。

裁縫、アイロン、洗濯など身の回りのことに始まり、
銃の分解から組み立てにいたるまで、
基本的になんでも自分1人で出来るようになります。

これは今の経営者という仕事に照らし合わせると良し悪しで、
何でも自分でしてしまう癖が付いてしまい他人に仕事を任せることが出来ない。

これは経営者としては失格で、
長らく僕の課題であり続けています。

 

②人を見捨てない
防大で最も厳しく指導されるのは他人を見捨てたときです。

例えば、毎朝6時半に学生舎の前で点呼をとりますが、
寝坊して出てこない人間もまれにいます。

同部屋の人間がいるはずなのにおかしいですよね。

寝坊した本人も怒られますが、それ以上に同部屋を見捨てた学生の方が怒られます。

言葉にすると当たり前のことですが、
10代の後半で実際に体験する機会があってよかったなと思いました。

 

③1分あれば何でも出来る
防大はとにかく短時間で物事を片付けることを求められます。

たとえば容儀点検。

制服にアイロンがかかっているか、
靴は磨かれているか、
校章は研磨剤でしっかり磨かれているなどをチェックされます。

容儀点検に落ちると、
概ね5分くらい後に実施される再点検までに不備項目を訂正して、
なおかつ不備項目を記載した報告書を提出するわけですが、
分単位で物事を済ませていかないと絶対に間に合いません。

そのときの教育が身にしみていて、
「これくらいの時間があれば何ができる?」と考えたり、
できることの優先順位付けを瞬間的に頭の中でやっているなと
感じることが多々あります。

日常でも、
例えば新幹線発車前に3分くらい時間があれば、
トイレに行き、さらに弁当を買いに走ったりしますから、
同行者をはらはらさせてしまうこともしばしばあるようです(笑)。

 

さて、私の卒業式。

式後、
任官を拒否した十数名の卒業生が教場に集められ、
幹事(とても偉い方。陸将補)から講和を受けました。

今になってもよく思い出される言葉です。

「君たちが自衛隊に行かないことはまことに残念ではあるが、
防大で学んだことはこれから必ず君たちの人生の財産になる。
それをもって社会で活躍してほしい。
それも国防なんだよ。」と。

今どれだけ人の役に立ち、活躍出来ているか分かりませんが、
今後もこの言葉とあの頃の経験を糧に、
ビジネスの世界で頑張って行きたいと思っています。

この約2年で、
私が防大で体験してきたことを皆様にほぼお話つくしたのではないかと思います。

私の「人生に必要なことは防衛大学校で教わった」も
これで卒業とさせていただきたいと思います。

 

今までありがとうございました。