防大では以前から留学生の受け入れを積極的にやっています。
私が在学時の留学生の出身国は、
タイ、インドネシア、フィリピン、シンガポール、マレーシアなどなど。
今ではこれらに加え、
韓国やモンゴルといった東アジアの国々も受け入れているようです。
私が所属していた小隊の1年生が全部で20~30人、
留学生がそのうち3人でしたから約1割くらいが留学生でした。
留学生は出身国の士官候補生たちで、
自身が希望して選抜試験に受かってはじめて来日してくるので、
おおむね優秀な学生が多かったように思います。
試験に受かる時期がまちまちなため、
留学生の年齢はばらばらで、
私が1学年時の同部屋になった留学生は26歳でしたから、
当時の私からすればずいぶん「お兄ちゃん」でした。
彼らは来日後、日本の学生とは異なり、
「0学年生」としてまずは日本語や日本の風習などを勉強をし、
その翌年晴れて1年生になります。
1年生になったら日本の学生と学生舎で起居をともにし、
同じものを食べ同じように授業を受け、校友会活動(クラブ活動)も
日本の学生と 同じように行います。
留学生どうしは母国語で会話しますが、
我々日本の学生とは普通に日本語で会話します。
「1年間でよくここまでしゃべれるようになるんだなあ」
と驚くほどです。
私も同部屋になった留学生と部屋でよく会話をしました。
お互いの国の話や、マンガの話
(私の同部屋はクレヨンしんちゃんの大ファンだった)、
芸能人の話
(私の同部屋はいつも鼻歌でZARDの「グッバイマイロンリネス」を
歌っていた)などなど。
日本人どうしの会話とかわりませんね(笑)
彼らは来日以降、日本という国で5年間過ごすことになるのですが、
彼らが防大で母国を意識するイベントがあります。
それが建国記念日。
学生の昼食は12時から13時までの間に食堂で
自由に摂ってよいことになっています。
が、留学生の出身国の建国記念日は一斉会食。
その国に敬意を表し会食前に全員で国家斉唱。
料理は当該国の料理が出てきました。
このように防大が積極的に多数の留学生を受け入れるのには、
両国の友好関係を築くため、
という理由があるかと思います。
確かに大変だった1学年時に彼らと起居をともにできたことで、
彼らを「同士」や「友人」として見られるようになりました。
これが「お客さん扱い」だったらだめだと思うのですね。
日本語で話し、日本食を食べ、防大のルールに従ってともに生活することで、
次第に彼らとの間にある国籍という壁を意識することがほとんどくなりました。
異文化コミュニケーションの
1つのヒントがあるような気がしています。