早いもので、今年も2ヶ月が過ぎました。
17年ぶりの大雪による積雪が首都圏でもあったりと、
ずいぶん忙しい年明けだったように思います。
立春を迎えましたが、
まだまだ寒さが続くようですのでどうぞご自愛ください。
さて今回の内容は、一足早く季節を進めて、
防大生が入学して一番初めにやるイベントについて書きたいと思います。
一年生で一番初めにやるイベント・・・
意外かもしれませんが、それは『隊歌コンクール』です。
入学して2~3週間後に、各小隊ごとに軍歌を歌って優勝を決めるというものです。
歌う曲目は2つと決められ、
1つめは「同期の桜」・「軍艦マーチ」・「抜刀隊」など、
いろいろある軍歌の中から自由に選びます。
2曲目は全くの自由曲で、
要は、「1曲目はまじめにやって、2曲目では笑わせろ」という趣旨です。
私たちのときも、2曲目では替え歌をやって笑わせました。
優勝を決める審査基準は、
軍歌は当然のこと、全員が詞を覚えていて、
元気よく声を出しているかどうかがポイントです。
入学してすぐのことであまり時間もありませんから、
歌詞が短く覚えやすいということで、私たちは軍艦マーチを歌いましたね。
2曲目は面白いかどうか、それのみが審査基準です。
もちろん軍歌のほうが重要視されるわけで、
一年生は各小隊ごとに別れ、
二年生の指導をうけながら練習します。
いきなり歌詞を配られて
「明日には歌うぞ、覚えて来い!」
というような感じです。
一年生が整列して歌う周りを二年生はぐるぐる回って、
一年生が口パクをしていないかチェックされますから、
みんな覚えるのに必死です。
厳しく指導されて本番に挑む、、防大では以降普通に行われる習慣なのですが、
初めての慣れない体験で、緊張の連続でした。
『隊歌コンクール』はシンプルなイベントですが、
入学前に多くの学生が抱いていた
「パイロットになりたい」「安定した職業につきたい」など の浮ついた気持ちが、
軍歌に触れてその意味を考え、
歌うことで俗世間への未練が断ち切られる。
「ああ。ここは違う世界なんだ」と。
同時に「防人」としての意識が、
ほんのちょっとだけど芽生えたイベントでした。
よく言われることですが、
歌を歌うのは人の意識を変えるんだなあと思った瞬間でした。