今回は夏に行われる訓練でのことをお話ししたいと思います。
すでに触れましたが、
防大は通常の大学と同じようなカリキュラムに加えて、
訓練をこなさなければなりません。
一年の中で大きな訓練は2回ありますが、
そのうちの一つが7月の試験が終ってから7月末まで実施される夏季訓練です。
海上自衛隊要員は、
基本的に座学か、大学が所有している港(通称『ポンド』)での訓練か、
護衛艦に乗って訓練をするかのいずれかになります。
*一部、海自の航空部隊実習がある。
その中で、一番思い出に残っているのは3年の夏の訓練でしょうか。
一週間から十日くらいかけて、
舞鶴(京都府)→敦賀(福井県)→七尾(石川県)→舞鶴
という行程で実施された乗艦実習。
立ち寄り先の各々の港で1日くらいずつ停泊するわけですが、
中でも七尾に立ち寄った時のことはよく覚えています。
船が港に入ると
多くの自衛隊後援会のみなさんに歓迎会を実施していただきました。
地元で採れた魚や野菜を網で焼き、地元の日本酒で流し込む。
最後はデザート(たぶんスイカだった)まで出てくるというフルコース。
20歳そこそこの若者が普段は絶対食べられないような料理でもてなされ、
感激しました。
*勿論防大生は参加費無料です。
その後は「七尾総踊り」という盆踊りの練習(防大生は全員参加)が行われ、
夜になると地元のかたがたと一緒に、
七尾川を盆踊りしながら2時間くらいぐるぐると回りました。
暑いし早く涼しいところで飲みたいなあとも思ったのですが、
踊る私たちを地元の方々がアナウンスで盛り上げ、
拍手喝采して喜んでくださいます。
後で訓練担当教官に「なんでこんなイベント参加するんですか?」と聞いたところ、
「防大生がこういうイベントに参加するのって、
けっこう大事な海自の広報活動なんだよね」と教わりました。
行事に参加をすることで、
地元の皆さんが我々のことをとても好意的に見てくださる。
船が着いたら概ね「防大生が来た」と喜んでくれます。
自衛隊についてはいろいろな議論もありますが、
敦賀でも七尾でも私たちは大歓迎を受けました。
それは先輩方のこういった草の根運動の成果だったと思います。